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GIMP:消しゴムで消えないときの対処法まとめ

      2017/09/13

GIMPの消しゴム

GIMPを使っていると、以下のようなことがよく起こります。

  • 「あれ?消しゴムが使えないぞ?」
  • 「反応しないぞ?」
  • 「バグ?もしかして壊れた?」

これらは、「設定」のミスや、「操作」の間違いなどが主な原因です。また、「レイヤー」「アルファチャンネル(透明部分)」などを理解すれば解決することができます。

この記事は、GIMPで消しゴムが使えない場合の原因と対策についてまとめています。

対策1. 選択範囲を解除する

基本的にGIMPでは、選択範囲の中しか編集できず、選択範囲の外は編集できないようになっています

例えば、ブラシなどを使う場合も、選択範囲の外に描くことはできません。「消しゴム」も同様で、選択範囲内は消せますが、選択範囲外は消せません。

選択範囲外は消せない

つまり、選択を解除すれば、通常通りに消しゴムを使うことができます。選択を解除する方法は主に3つあります。

メニューから選択を解除

選択を解除するには、①「選択(S)」→ ②「選択を解除(N)」を行います。

選択を解除

ショートカットキーで選択を解除

選択の解除は、キーボードの「Shift + Ctrl + A」でも可能です(全て選択が「Ctrl + A」なので、Shiftを加えたらその逆の動作をすると覚えると良いでしょう)。

選択を解除(ショートカット)

選択範囲の外をクリックして選択を解除

また、「矩形選択ツール」を選んで、選択範囲の外をクリックしても選択を解除できます。

選択を解除(範囲外をクリック)

これで、消しゴムで消せるようになりました。「対策1」で解決できない場合は、「対策2」へ進んでください。

補足 :「レイヤーのサイズ」と「選択範囲」は違う

ドラッグ&ドロップなどで外部から画像を読み込んだ場合、「黄色がかった点線」で範囲が示されます。

これは、選択範囲ではなく、レイヤーの大きさを表しています。つまり、外部から読み込んだ画像の大きさです。

りんごのレイヤー

▲黄色の点線はレイヤーの大きさ

当然、外部から読み込んだ画像(レイヤー)が作業中のキャンバスより小さい場合も、上で説明した「選択範囲」同様、その「黄点線」の範囲より外を編集することはできません。

レイヤーの外は編集できない

もし、外部から読み込んだ画像(レイヤー)の範囲を超えて編集を加えたい場合は、対象レイヤーを右クリックして、「レイヤーをキャンバスに合わせる(I)」を押します。

レイヤーをキャンバスに合わせる

これによって、実際に読み込んだ画像サイズよりも広い範囲を編集することが可能になります。

レイヤーがキャンバスに合わさった

対策2. レイヤーを選択する

GIMPには「レイヤー」という機能があります。レイヤーというのは、複数の画像を重ね合わせて1枚の画像を作ることができるものです。

プロジェクト内に複数のレイヤーが存在する場合は、選択されているレイヤーが編集対象になっています

セイヤーの選択

つまり、消しゴムで消えていないように見えても、実は別のレイヤーでは消えている、ということが起こっていることがあるわけです

ですので、必ず、消しゴムを適用させたいレイヤーを選択してから作業します

ドロップ&ドロップで外部から読み込んだ画像も、基本的にレイヤーとして追加されます。この場合も、追加されたレイヤーを選択してから作業を行います。

具体例:3つのレイヤーがある場合

一つ例を出しましょう。例えば、「1. 背景画像」「2. 木の画像」「3. りんごの画像」の順番に重ね合わせて、以下のような画像を作るとします。

青空と木とりんご

このとき、レイヤーは3つあるわけですが、「りんご」を消しゴムで修正したいときは、必ず「りんご」のレイヤーを選択します

りんごのレイヤーを選択

目のボタンでレイヤーを表示/非表示すれば分かりやすい

また、レイヤー一覧を表示しているメニューにある「目のボタン」をクリックすると、レイヤー単位で表示非表示を切り換えることができます。

目のボタン(レイヤー表示非表示切り換え)

作業をしていて、状況がよく分からなくなった場合は、一旦作業したいレイヤーだけを表示して確認してみましょう。

「対策2」で解決できない場合は、「対策3」へ進んでください。

対策3. ブラシを変更する

消しゴムの「ブラシ」の設定がおかしいことが原因の場合もあります。ツールオプションを確認し、消しゴムの設定項目を確認してみましょう。

ブラシがクリップボードになっている

ブラシの種類が「クリップボード」になっている場合は、「ブラシボタン」をクリックして、適切なブラシに設定します。

適切なブラシに設定

その他、消しゴムの「サイズ」が極端に小さすぎる場合も、消しゴムが上手く使えない原因になりますので、作業のしやすさに合わせて、消しゴムのサイズを調整しましょう。

ブラシのサイズ

対策4. アルファチャンネル(透明部分)の設定を確認する

消しゴムは、「アルファチャンネル(透明部分)」を追加したときと、そうでないときとで動作が異なります。アルファチャンネルというのは、簡単に言うと透過処理ができるようになるものです。

レイヤーに「アルファチャンネルを追加」した場合は、消しゴムで消した部分が透過されます

透過されるパターン

例えば、「黄緑の背景(透過無し)」に「ピンクの画像(透過有り)」を重ね、ピンクの画像の一部を消しゴムで消すと、以下のような画像が完成します。

黄緑とピンク(アルファチャンネル有り)

▲背景の緑が浮かび上がった

ピンクの画像は、消しゴムで消した箇所が透過されているので、背景の緑が見えていますね。

透過されないパターン

一方、「黄緑」と「ピンク」どちらのレイヤーも「透過無し」の場合は、以下のようになります。

黄緑とピンク(アルファチャンネル無し)

▲白で塗りつぶされた

ピンクの画像は、消しゴムで消した場所が透過されず、白で塗りつぶされています。そのため、背景の緑は見えません。

アルファチャンネルの有無による消しゴムの動作パターンまとめ

まとめると以下のようになります。

アルファチャンネル有無 動作
有り(透明部分有り) 消しゴムで消したところが透明になる
無し 消しゴムで消したところが白(正確には背景色)になる
※対策5でより詳しく解説

この仕組みを理解しておけば、GIMPの意図しない動作に悩まされることは無くなります。

例えば、「消しゴムで消しているのに、黄緑になってしまう!」という現象が起きたとします。

ピンクと黄緑(アニメーション)

▲消しゴムが黄緑を塗っているように見えるが、背景の黄緑が浮かび上がっているだけ。

これは単に、ピンクの画像にアルファチャンネルが追加されているので、消しゴムで消した部位が透過されて、背景の黄緑が浮かび上がっているだけです。

アルファチャンネルの設定方法

アルファチャンネルの設定は、レイヤーを右クリックし、「アルファチャンネルの追加(H)」「アルファチャンネルの削除(R)」で設定します。

アルファチャンネルの設定その1

もしくは、①レイヤーを選択 → ②「レイヤー(L)」→ ③「透明部分(A)」→ ④「アルファチャンネルの追加(H)」「アルファチャンネルの削除(R)」、からも設定することができます。

アルファチャンネルの設定その2

 

「対策2」でも書きましたが、今編集しているレイヤーが、具体的にどのような状態になっているのかを把握したい場合は、レイヤーメニューにある「目のボタン」を押すと、レイヤー1枚単位で表示非表示を切り換えられるので分かりやすいです。

この項目については、少し補足がありますので、次の「対策5」も合わせてご覧ください。理解がより深まると思います。

対策5. 背景色の設定を確認する

消しゴムを使った際、「透明」や「白」になって欲しいのに、「赤」や「黒」といった色になってしまうことがあります。

これは、アルファチャンネル(透明部分)を追加していないレイヤーの場合、消しゴムは「背景色」として設定した色を描画するからです。「アルファチャンネル(透明部分)を追加していないレイヤー」というのがポイントです。

▲レイヤーに透明部分を追加していない場合、消しゴムは背景色で塗りつぶす(この場合は水色)。

背景色を「白」にリセットしたいときは、パレットの左下にある「小さなボタン(描画色・背景色リセットボタン)」をクリックします。

描画色と背景色のリセットボタン

これで、消しゴムを使った時に、白色で塗りつぶせるようになりました。白以外の色で塗りつぶしたい場合は、パレットをクリックして、好きな色に設定すればOKです。

 

「対策4」でも少し触れましたが、レイヤーにアルファチャンネル(透明部分)を追加しているかどうかで、消しゴムの動作は変わります。大事なことなので覚えておきましょう。

アルファチャンネル有無 動作
有り(透明部分有り) 消しゴムで消したところが透明になる
無し 消しゴムで消したところが白(正確には背景色)になる

 

まとめ

上記5つの方法を使っても改善されない場合は、GIMPを再起動したり再インストールしたりしてみましょう。

大抵の場合は、上記の方法で解決できるはずです。ソフトの挙動を理解できていないと戸惑うことが多いですが、慣れてくるととても合理的な機能であることが分かってくると思います。

以上、GIMPで消しゴムを使っても消えないときの対処法についてでした。

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