WordとExcelの違いとは?使い分けを分かりやすく解説
2018/04/23
業務でよく使われるOffice系ソフトに、「Word」や「Excel」があります。
この2つのソフトは、共通する部分もありますが、基本的にはそれぞれ機能が違いますので、用途によって使い分ける必要があります。
- これから仕事で両ソフトを覚えなくてはならない人
- もっとソフトを使いこなして仕事の効率を上げたい人
など、これに該当する方はソフトの違いをしっかり抑えておきましょう。
目次
WordやExcelとは?
どちらも、マイクロソフト社が開発・販売しているソフトです。
業務などで利用されることが多いため、エクセルやワードなどをまとめて「オフィスソフト」と呼びます(マイクロソフトは自社製品を「Microsoft Office」という名称で呼んでいる)。

▲ Microsoft Officeの中に「Word」や「Excel」が含まれる
WordやExcelは、あくまで製品名であり、製品カテゴリーとしては、Wordは「文書作成ソフト」、Excelは「表計算ソフト」ということになります。
例えば、文書作成ソフトであるWordの類似商品としては、「一太郎」や「KINGSOFT Writer」などがあります。
WordとExcelの違い
WordとExcelの大きな違いは、「文字」を扱うか「データ」を扱うかという点です。
Wordの特徴やできること
Wordは「文字」の入力に特化しており、主に文章を作成するために使われます。
ページで区切られた原稿用紙に文章を入力しているイメージに近く、「契約書」や「報告書」、「論文」「マニュアル」「学級通信」などの作成に向いています。

▲ 報告書の例
見出しを付けて文章を構造化できるから目次も簡単に作れる
Wordには、見出しを付けて文章を構造化できるという機能があります。見出しをクリックするだけで目的の項目に瞬時に飛んだり、見出しを元に「目次」を簡単に作ったりすることができます。
Wordで作った文書を「PDFファイル」として出力することもできるので、マニュアルなどの配布資料を作るのにも便利です。
文章校正機能で誤字脱字も一発で分かる
Wordは、Excelと違って、「文章の校正機能」が標準で付いています。校正機能とは、「誤字脱字」や「表現のおかしい日本語」を赤線や緑線などで分かりやすく教えてくれるものです。これにより、文章の誤りなどに一発で気付くことができます。
Excelの特徴やできること
対して、Excelは、1つのデータを「セル」という単位で扱い、マス目状の用紙を使って入力作業を行います。
一つひとつのセルに、「名前」「年齢」「点数」「金額」といったデータを入力していき、その入力されたデータを元に「合計値」や「平均値」を計算して出すことができます。
用途は、「売上管理」「伝票作成」「データ分析」「家計簿の作成」「スコア計算」などに使えます。
関数があるから計算が楽にできる
計算は、Excelに標準で搭載されている「関数」という機能を使って簡単に行えます。

▲ SUM関数で3つの値の合計を一瞬で出す様子
データを加工してグラフにできるから実情を把握しやすい
特定のデータだけを「抽出」したり、「ソート機能」で昇順や降順に並び替えたり、数値を「グラフ」にして分かりやすくすることも可能です。
例えば、「20代の女性のレコードだけを抽出し、職業別に人数を降順で並べ替え、円グラフにする」といったことが容易にできます。

▲「関数」と「グラフ」を使って瞬時に作成。データがどれだけ増えても構わない。
このように、エクセルは、入力したデータを加工して可視化するのがとても得意なソフトです。
入力規則を設定できるから誤ったデータの入力を防止できる
誤ったデータを入力しないように「入力規則」を設定することができるため、例えば、セル内に「0~100」の値しか入力できないようにする、といったことが簡単に行えます。

▲ 入力規則で0~100の値しか入力できない様子
職場などでは複数の人が1つのExcelファイルを編集することがありますが、そんなときにも意図しないデータを誤って入力してしまうことを防ぐことができます。
これらの機能からも、Wordと違ってExcelは、「データを扱うソフト」だということがお分かりいただけるのではないでしょうか。
見た目の違い
起動画面の違い
WordとExcelを起動したときの画面は、それぞれ以下のようになります。
![]() |
![]() |
▲ Wordの起動画面 | ▲ Excelの起動画面 |
Wordの画面
Wordの起動画面は、真っさらな原稿用紙のような状態です。
Wordは、文字の「縦書き」「横書き」を設定したり、「グリッド線」を表示してノートのようにしたり、「用紙サイズ」「余白」などを調整したりして、快適な環境で文章作業を進めていくことができます。
![]() |
![]() |
▲ 縦書き/横書き | ▲ グリッド線の表示/非表示 |
Excelの画面
対して、Excelの起動画面は、「行」と「列」で区切られた碁盤の目のような用紙が表示されます。マス目(セル)一つひとつにデータを入力して表を作っていきます。
Excelは、行と列の「幅」を自由に調整したり、隣り合ったセルを「結合」して1つのセルにしたり、「格子」という機能で線を引いて囲ったり、自由に表を形作ることができます。
![]() |
![]() |
![]() |
▲ 行と列の幅を調整 | ▲ セルを結合 | ▲ 格子で表を囲む |
アイコンの違い
Wordは、「W」をあしらった青を基調にしたデザインのアイコンです。
Excelは、「X」をあしらった緑を基調としたデザインのアイコンです。
![]() |
![]() |
▲ Wordのアイコン | ▲ Excelのアイコン |
作成したファイルの見た目も異なるため、ひと目見ただけでどちらのソフトのファイルなのかを判別できます。
![]() |
![]() |
▲ Wordで作成したファイルのアイコン | ▲ Excelで作成したファイルのアイコン |
ファイル形式の違い
ファイルを保存するときのデータ形式はそれぞれ違っており、Wordで作ったファイルをExcelで開いたり、Excelで作ったファイルをWordで開いたりすることはできません。
Wordのファイル形式「.doc」と「.docx」
Wordで作成したデータを保存する際は、「.doc」や「.docx」というファイル形式が利用されます。これは、文書作成に関する「段落」や「文字装飾」といった情報をひとまとめにして保存しておくデータ形式です。

▲ .docx形式
「Word 2003までのバージョン」では「.doc形式」が使われていましたが、「Word 2007以降のバージョン」では、よりリッチな「.docx形式」が使われています。
「.doc」より「.docx」の方が上位版であるため、「.doc形式」のファイルを「.docx形式」に保存し直すことは可能ですが、「.docx形式」のファイルを「.doc形式」にする場合、見た目などが崩れることがあります。
Excelのファイル形式「.xls」と「.xlsx」
一方、Excelは、「.xls」や「.xlsx」というファイル形式が使われます。これは、セル(マス目)に入力した「文字・数値データ」や、「計算式」などをひとまとめにして保存しておくデータ形式です。

▲ .xlsx形式
Wordと同様に、「Excel 2003までのバージョン」では「.xls形式」が使われていましたが、「Excel 2007以降のバージョン」では、よりリッチな「.xlsx形式」が使われています。
ファイルの互換性についてはWordと同様で、「.xls」より「.xlsx」が上位に位置します。そのため、古い形式である「.xls」を「Excel 2007以降のバージョン」で開いて編集することはできますが、「.xlsx」を「Excel 2003などの下位バージョン」で開くことはできません。
2003などの下位バージョンで「.xlsx」を開く場合は、「.xlsx」を「xls」に変換してから開いたり、互換機能パックを使って開いたりする方法がありますが、いずれの場合も表示などが崩れることがあります。
改行の違い
Wordの改行は「Enter」
Wordは、「Enterキー」を押せば改行することができます。
Excelの改行は「Alt+Enter」
一方Excelは、元々セル(マス目)に長文を書くことを想定して作られていないので、Enterキーを押すと、セルの編集を抜けて下のセルへ移動します。

▲ Enterキーを押すだけだと、1つ下のセルに移動する
どうしてもセル内で改行したい場合は、「Alt+Enter」で文章を改行することができます。
ただ、この方法だと、改行のたびに一々「Alt+Enter」を押さなければならないので、文章入力がかなり面倒です。
この仕様の違いからも分かる通り、Wordは文章の入力作業がしやすい設計であり、Excelは文章入力ではなくデータの入力をしやすく作られています。
画面上に自由に文字を配置できるテキストボックスについて
エクセルで長文を入力する場合は、複数のセルを結合したり、セルを広げたりして使っても構いませんが、「テキストボックス」という機能を使う方法もあります。
テキストボックスは、作業画面上の好きな場所に文章を配置できる機能です。画面上なら、自由自在に動かすことができます。

▲ テキストボックスは好きな場所へ自在に動かせる
ちなみに、テキストボックスはExcelだけではなく、Wordでも利用することができます。
習得のしやすさ
どのレベルまで習得したいのか?という事にもよりますが、初心者向きなのはWordで、用途の幅が広くて奥が深いのは断然Excelです。
Wordの方が初心者には簡単
Wordは、文章を書いたり、見出しを作ったり、文字を大きくしたり、画像を挿入したりといった基本的なことができれば、誰でもそれなりに見栄えのいい文書を作ることができます。
Excelも初歩は簡単だが奥が深い
対してExcelは、「関数」という非常に便利で強力な機能があり、この機能を使いこなすために多少の勉強が必要です。
関数を使えば、例えば、「合計値」や「平均値」を瞬時に出したり、「最小値」や「最大値」を一瞬で求めたりすることができます(たとえデータが1万個あったとしても)。
関数とは、つまり計算を簡単に行う機能であり、関数を使わなければ、一つひとつ手作業で計算することになるため、エクセルを使う意義が薄れてしまうのです。
ちなみに、Wordにも一応関数の機能はありますが、Excelに比べるとかなり機能が劣ります。
Excelは数学やプログラミングの知識があればなお良い
より高度にExcelを扱いたいのであれば、数学的な知識やプログラミングの考え方を知っておいた方が有利です。
数学的な知識は「計算式」を考えるのに役立ちますし、プログラミングの知識はIF関数を使った分岐処理を行うときの「条件式」などを設定するときに役立ちます。
例えば、『80点以上は「合格」と表示し、それ未満の点数の場合は「不合格」と表示する』といった判定処理を作りたいときなどに、これらの知識を活かせます。

▲ IF関数を使った分岐処理の例。80点以上なら「合格」と表示。もちろん、同様の処理を瞬時に全ての行に適用できる。
Excelは誰でも簡単に使える表計算ソフトである一方、このように機能が豊富にあるので、使いこなそうと思えばどこまででも極めることのできるソフトです。
パソコン系の雑誌などでも、度々「エクセルの活用術」といった特集が組まれますが、Wordと比べてExcelはそれほど奥の深いソフトだということが言えます。
上級者ご用達の「マクロ機能」はExcelと物凄く相性がいい
WordやExcelには「マクロ」という機能があり、プログラミング言語でコードを記述し、一連の作業を機械的に処理するようにもできます。
ここまで使いこなせば、思うがままにソフトを操ることができるため、作業効率は格段に跳ね上がります。このマクロ機能はExcelとの相性が良いため、パソコン上級者にはExcelの愛用者が多いです。
要は、Excelをまるで自作ツールの開発ソフトのように活用できるのです。私もWordよりExcelを多用しますが、こういったことが理由にあります。
結局、どっちが習得しやすい?
どちらも初心者を脱するレベルであれば、数日もあれば習得できます。奥が深い&用途の幅が広くて極めがいがあるのはExcelです。
そもそも、WordやExcelを使う目的は、習得することにあるのではなく、業務や作業の効率化にあります。効率化のために、WordやExcelといったソフトを使うわけです。
ですので、たとえ高度な部分まで習得できなくても、実務に求められるスキルを満たすことができていれば、それでOKです。
使い分けを解説
各ソフトの用途については上の項目でも簡単に触れましたが、もう少し踏み込んで解説します。
Wordを使う場面
Wordは文書作成全般に使われます。主な用途は以下の通りです。
具体的な使用例
- ビジネス文書(通知書、報告書、契約書、社内報、議事録など)
- 約款
- 研究論文
- 封筒の宛名印刷
- 学級通信
- マニュアルの作成、など。
Excelとは違って、ページごとに区切られて文書作成ができるので、例えば「A4の書類を作成して、そのままA4の用紙に印刷したい」ということが簡単にできます。
Excelを使う場面
Excelも、業種業界に関わらず、あらゆる用途に使うことができます。
具体的な使用例
- 企業で「売上管理」や「見積書」「伝票作成」に使う
- 研究職で「データ分析」に使う
- 家の「家計簿」を作るのに使う
- スポーツやゲームの「スコア計算」に使う
「見積書」などは、一見Wordで作っても良さそうですが、計算が含まれる文書なので、エクセルで作った方が圧倒的に便利です。
Excelは、データの「入力」や「計算」「加工」に関するあらゆることができます。
データを入力してただまとめておく為に使うのもよし、入力したデータを分析して活用するもよし、分析したデータをグラフにして可視化し、プレゼンなどで活用するのもよしです。
チラシやPOPの作成について
簡単なチラシやPOPを作るのであれば、WordとExcelどちらを使ってもいいです。
どちらにも「テキストボックス」という機能があり、入力範囲やマス目などにとらわれることなく、自由に文字を配置することができます。
また、どちらのソフトにも、「ワードアート」と呼ばれる機能があり、少し派手な文字を作ったりすることができます。チラシやPOPの作成に便利です。

▲ ワードアートの例
「画像」を挿入することもできるので、イラストや挿絵などをちょこんと配置して見栄えを良くすることもできます。

▲ 画像を挿入した例
ちなみに、Excelの罫線は、表示/非表示を設定したり、印刷するかしないかを自由に決めたりすることができるので、「線も一緒に印刷されてしまうの?」と心配する必要はありません。
このように、簡単なチラシやPOPを作る程度であれば、ワード、エクセル、どちらを使っても構いません。「A4用紙で印刷したい」といったように、用紙サイズがハッキリ決まっているのでしたら、用紙設定が簡単なワードを使った方がいいでしょう。
印刷業者に依頼するならどちらも不向き
補足として付け加えますが、印刷業者に依頼をする場合は、Word、Excel、共に不向きです。
本来、印刷業者はワードやエクセルのデータを使うことはなく、専用のフォーマットに変換してから印刷するためです。
そのため、色合いがおかしくなったり、フォントが別のものに置き換わったり、文字の位置がズレてしまったりして、印刷物の品質が安定しなくなります。
本格的にチラシを作りたいなら専用のDTPソフトを使う
上記の理由により、チラシやポスター、パンフレットなどを本格的に作成したいなら、ワードやエクセルを使うのではなく、専用のDTPソフト(例えばAdobeのInDesignなど)を使ったほうが良いです。
そこまで品質を気にしなくて良い場合や、時間と費用をかけたくない場合は、ワードやエクセルでチラシやPOPを作っても良いと思います。使い慣れたソフトを使ったほうが、作業効率が良いというメリットもありますので。
一応、ワードなどのファイルを印刷してくれる業者はあります。
両ソフトに共通すること
両ソフトは、Microsoftが開発している同じオフィスシリーズなだけあって、細かい部分で共通する部分も多いです。
操作メニュー
操作メニューは、共に「リボン」というタブ形式になっており、タブをクリックするだけで、項目を切り替えることができます。

▲ Wordの操作メニュー(リボン)

▲ Excelの操作メニュー(リボン)
文字を太くしたり大きくしたりするときは、このリボンという操作メニューを使って行えます。
どちらも、操作感は基本的に同じなので、片方のソフトを使い慣れれば、もう片方のソフトもほとんど違和感なく扱うことができます。
文字周りの機能
両ソフトは、文字周りの機能も共通する部分が多いです。
例えば、フォントの変更、文字色の変更、文字の拡大/縮小、太字や斜体などは、どちらのソフトもほとんど同じように使えます。

▲ Wordの文字周りの機能

▲ Excelの文字周りの機能
オブジェクトの挿入
画像や図形といったオブジェクトの挿入なども、どちらのソフトでも同じように行えます。

▲ Wordのオブジェクト挿入機能

▲ Excelのオブジェクト挿入機能
結局どっちを使えばいい?
どちらのソフトも役割は異なります。Wordは文書作成が得意ですし、Excelは表計算が得意です。
従って、どちらか片方だけを使えば良いというものではなく、用途によって使い分ける、という考え方が大事です。
パソコン初心者には「Word」がおすすめの理由とは?
パソコンが全くの初心者で、キーボードで文字を入力するのもおぼつかないという場合は、最初にWordから始めるのがおすすめです。
Wordは文書入力が中心なので、パソコンを使うのにとても大事な「文字の入力」に慣れていくことができます。文字の入力ができれば、ネットの検索などがスムーズに行えるようになるので、問題を自分で解決できるようになります。
初心者向けのパソコン教室でも、Wordを使って文字の入力などを教えているところが多いですが、それほど初心者にも易しいソフトと言えます。
両ソフトには共通部分も多いから、まず片方だけ習得してもいい
両ソフトは、機能的に共通する部分も多いので、Wordを覚えればExcelも使いやすいですし、逆にExcelを習得すればWordも使いやすいです。
どっちを使えばいいのか分からない場合は、とりあえず片方だけ使ってみて、どのようなものなのかを把握してみれば良いと思います。
まとめ
2つのソフトの違いについて解説してきました。まとめると以下のようになります。
- Wordは「文書作成」に特化したソフト
- Excelは「表計算」に特化したソフト
機能については、さわりの部分しか紹介しませんでしたが、大体どのような感じなのかは掴めていただけたのではないでしょうか。
両ソフトとも、奥が深いですが、使いこなせば非常に便利なソフトです。それぞれのソフトの特徴を踏まえた上で、使い分けてみて下さい。