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【映画】大脱出の感想とレビュー:細かな矛盾を気にしなければ良質な作品

      2018/02/09

大分前から気になっていた、映画『大脱出』を試聴しました。あの『ロッキー』のスタローン氏と、『ターミネーター』などでお馴染みのシュワちゃんが出演しているということで、かなり興味があったのです。

結論から言うと、かなり面白かったです。ですが、少々気になった点があったので、それについても触れておきたいと思います。

ちなみに、私は見た映画などに評価を付けてメモ帳などにまとめているのですが、『大脱出』は10段階の評価で「8」の評価を付けました。9に近い8なので、決して悪い評価ではなく、今一歩及ばずという感じです。

「良かった点」と「気になった点」をまとめます。

良かった点

良かった点を簡単にまとめると、

  • あのスタローン氏とシュワちゃんの共演
  • 緊迫感のある脱獄劇が手に汗握る
  • 散りばめられた伏線が徐々に回収されて繋がっていく心地良さ
  • 仕掛けの数々に思わず手を打って「なるほど」と納得してしまう
  • 悪役の非道さが際立っていてハラハラする(怖いけど魅力的)
  • ラストのシュワちゃんからの衝撃の告白(一杯食わされたな、となって終了)

などです。

主役から脇役まで豪華だからそれだけでも見る価値あり

スタローン氏とシュワちゃんは言わずもがな、悪役(監獄の所長)を演じるジェームズ・カヴィーゼル氏の役がとても素晴らしく、作品全体に緊張感を生み出してくれました。

主人公たちの怪しい行動をいち早く察知し、脱走計画を本気で潰しにかかってくる様は、正に鬼のようでした。あと一歩で上手くいきそうなのに、計画が潰されそうになるあの緊張感は凄まじかったです。

面白い作品は、「悪役が魅力的である」とよく言われますが、正にその原則通りでした。

散りばめられた伏線が繋がっていく快感

主人公は、監獄から抜け出すために、獄内で着々と準備を進めていくわけですが、謎に見えた行動の意味が次第に明かされて繋がっていく様は、まるでパズルのピースがきっちり合わさっていくような心地良さが得られます。

「あのシーンはこのためだったのか!」というのが繰り返されるので、推理ものが好きな人にはたまらないと思います。

使えるものはなんでも使う。それはまるで工作のようで子供心を呼び起こす

脱獄モノのワクワク感は、「使えるものはなんでも使う」という、ある種の工作的な楽しみにあると思っています。

配給されるパンやスプーン、ちょっとした金属の切れハシなどを巧みに使うわけですが、それはまるで、節約番組を見ているときの、「こんな使い方があったのか!」というあの感動に似ています。

『大脱出』でも、期待通りこれがしっかり描かれております。ネタバレになるので詳しくは書きませんが、脱獄ものに付き物の「限られた物や条件でどうやって抜け出すのか?」というあのわくわく感はこの作品にも健在です。

私は、脱獄ものだと他に『ショーシャンクの空に』なども好きなのですが、これらの作品が好きな方を満足させる水準には充分達しているかと思います。

ただ、キーとなるアイテムを手に入れるときに、若干強引なシーンが多かったので、その点は少しもったいなかったと思います。ストーリーを早く進めるためにやむを得ずといった感じでした。

天才への期待感だけで続きが気になってしまう

「主人公の頭が良い」というだけで、作品全体に「期待感」が溢れてきます。「主人公は一体どんな面白いことをやってくれるのだろう?」とわくわくするのです。これは、推理ものなども同じですね。「ホームズは、この難題を一体どうやって解決するのだろう?」と。

この辺りは、主人公演じるスタローン氏の「見るからに頭良さそうなオーラ」が上手く私たちの期待感を上げてくれました。「次に一体どんな手を打つのか?」そういった期待感を抱かせてくれるので、続きが気になって食い入るようにどんどん見てしまいます。

この辺の、「続きに対する期待感」の演出も、中々秀逸だったと思います。ほんのわずかな情報からも答えを導き出す様は、主人公の頭の良さを巧みに描いていて良かったです。

例えば、「自分たちが今地球上のどこにいるか?」を突き止めるまでの流れは、天体や物理、地理の知識を総動員しており、なるほどなーと感心しました。

「天才が問題を解決するまでの流れ」は、それだけで最高のコンテンツになるのだと思います。

全体として見ると、大味な部分も所々ありましたが、期待感が失われるほどの矛盾ではなかったと思います。

物語中盤に訪れる圧倒的な絶望感。そして希望へと繋がる

これも、ネタバレになるので詳しくは控えますが、物語の中盤辺りで、主人公たちがどこに捕らわれているのかが明かされるシーンがあります。これによって主人公たちは一気に絶望。

それプラス、監獄の所長たちのイジメによって主人公の心がどんどん削られていきます。

看守たちの激しい妨害によって、いっぺんは脱獄を諦めて心の折れる主人公ですが、それをシュワちゃんが励ますシーン、そして徐々に心が復活して再び戦いを挑むところは、グッときました。

この辺りの一連の流れ、絶望から希望に変わるまでの心理描写も非常に良かったです

協力者の存在は緊張にほどよいマイルドさを与えてくれる

終始緊張ばかりだと疲れてしまいますが、所々に表れる「協力者」の存在が、ほどよく緊張を緩めてくれました。

また、緊張の連続だと緊張に慣れてしまって緊迫感が薄れてしまうので、所々に織り交ぜられた緩和が緊張をより際立たせてくれました。

資本家のエグさも上手く表現されていた

格差社会や過剰な民営化などに対するアンチテーゼ的な内容も若干含まれていて、現代社会の問題点や現状をよく把握して作られているなあと思いふけりました。

従業員(主人公)を監獄に叩き込んで人生を奪う代わりに、雇い主(オーナー)である資本家自身は高給を得て悠々自適な生活、というわけでございます。

こういった部分もしっかり描かれていたおかげで、「なんという卑劣な奴らだ!」「主人公たちを応援したい!」「頑張ってなんとしても抜け出してくれ!」という怒りと応援の感情が強く沸き起こされました。

今のアメリカ社会は、正に「資本家」と「従業員」の対立が起こっているので、そうした時代に即した形で、従業員である彼ら彼女らの共感を狙ったストーリーラインが作られているといえるでしょう。

もちろん、こういった部分は、主人公たちの行動の動機を正当化するためにあえて少しだけ描かれているわけであり、作品のメインは緊張感のある脱獄劇です。

気になった点

個人的に気になったのは主に以下の2点です。

  • 緻密な頭脳戦だからこそ小さな矛盾が目に付く
  • 予告を見ていると少し損する(ネタバレ的な意味で)

緻密に練り上げた頭脳戦だからこそ小さな矛盾が目に付く

少し残念だなと思ったのが、細かい部分が若干おろそかになっていた点です。敵からすると、主人公たちは要警戒人物となっているにも関わらず、結構監視がずさんでした

脱獄不可能と謳っている割に、医者との接触は1対1で会話し放題だったり、監視カメラの映像が途切れたのに看守たちはすぐに様子を見に行かなかったりします。

あまりにもセキュリティがガチガチすぎると、物語が全く進展しないので、ある程度の穴を作っておくのは仕方のない事なのかもしれませんが、「高度なセキュリティを擁した牢獄」という設定の割には、結構穴んぽこがありすぎではないか?という感じがしました。

もちろん、こういった細かいことはどうでも良いと思えるほど、先が気になる面白い作品なので、些細なことを気にしなければ、充分楽しめるのではないかと思います。

大味のアクション映画なら、そもそも気にならない程度の矛盾だと思いますが、「高IQの主人公による緻密な戦略」という部分が押し出されていたため、細かい点が気になってしまったのでしょう。

これが、作品の評価を少し低くした理由です。

予告を見なければより楽しめる

もう一つ残念だったのは、日本語版の予告を見てしまうと、作品の最も重要な部分がネタバレしてしまう事です

これについては、私自身、予告を見て興味を持って作品を見たわけなので、広報的には合っていたのかもしれません。ですが、作品の作りからすると、予告を見ずに見たかったなと思いました。

予告を見ないまま視聴したほうが、驚きや衝撃が増すと思います。予告を見ているとかなり損するので、予告を見ずに視聴することをおすすめします。

 

まとめ

脱獄系の作品がなぜあれほど人気が高いのかというと、「自由になりたい」という人間の深層的な欲求と結びついているからではないでしょうか。

私たち人間は、地獄から抜け出して自由になるまでの姿を見たいのだと思います。

私はこの『大脱出』を見て、「どれほど絶望的な状況でも決して諦めない」、そんな教訓を学ばせてもらった気がします。

ちなみにこの作品、2018年に続編が公開されるようです。日本での上映については不明ですが、とても楽しみですね。

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